10年前の夢と希望を再び
98年フランス代表vs世界選抜エキシビジョンマッチ
7月12日、98年のフランス代表W杯優勝を記念したエキシビジョンマッチの夜。主将デシャン(39)がピッチに現れた瞬間、10年前の夜と同じく8万人の観客で埋めつくされたフランススタジアムは、割れんばかりの熱狂に包まれた。
ジダン(36)を筆頭に、伝説のユニフォームをまとった98年ドリームチームが、「つまらなく夢のないチーム」とレッテルを張られた現フランス代表との格差を見せつけた。
「フィジカルは落ちたがテクニックは健在」というジダンの言葉どおり、終わってみれば3-3の大量ゴールに大いに沸いたこの試合。中でも得点にからむプレーで光ったのは、皮肉にも、仏代表ドメネク監督(56)の構想外で苦しむピレス(34)、ジュリ(32)、トレゼゲ(30)の現役3選手だった。
そしてこの夜、98年代表チームの中心には、10年前のあの夜と同じく、いつもジダンがいた。終盤はやや足が重くなったものの、引退2年のブランクを感じさせない華麗なテクニックと的確なパス回しで観客を魅了。ヘディングの2得点こそ再現できなかったが、後半22分の右足ゴール(1-1)で、98年フランス代表の記念すべき1点目を飾った。 内容も見ごたえ十分だった。前半25分の世界選抜ブトラゲーニョ(44)の先制ゴールにはじまり、点の取り合いは試合終了間際までもつれ込む。後半45分のジュリの右足(2-2)、そのわずか1分後のシューケル(40)の左インサイド(2-3)で、サスペンスは最高潮に。そして後半ロスタイム2分にディオメド(34)の同点ゴール(3-3)が決まった瞬間、98年フランス代表メンバーとスタッフは、10年前の夢の夜さながら、ピッチへ飛び出して喜びを爆発させたのだった。